▼ カタログから見るスバルの動向(セダン)
 
 ●前半部分
 
 今回のカタログは、前半部分と後半部分とで全く違う作り方をしている。
 
 前半部分は 「 アミューズメント・セダン 」 を合い言葉にクルマを楽しむ事への提案をメインで
 NA / NB の解説が進んで行く。
 
 今まで多くを語らずに、いわば質実剛健なイメージを持つスバルとはガラッと変わって
 某T社やH社が好んで使う非現実的なイメージ ( 例えば、クルマをジェットコースターに
 見立てるような実際にはあり得ない風景 ) を取り入れている。
 
 古くからのインプレッサ・ファンには、おそらく 「 大丈夫か? 」 と、ちょっとハラハラさせる
 構成であると思うが、逆に言えば、他メーカーからの乗換えの方々には、今までにない
 非常に判りやすいスバル・インプレッサのカタログであると言える。(^^ゞ
 
 やはり、このへんの構成は、近年急増した他メーカーからの乗換えユーザーに、
 スバルを判りやすく理解して頂く方針展開の部分だろう。
 
 
 ●後半部分
 
 逆に、後半部分は、古くからのインプレッサ・ファンが安心して見れる構成となっている。
 WRC をメインに据えて、そこから話が展開していく内容だ。
 
 GC8系の頃は風景描写の小説を読むような、感性にうったえる解説文が使われていたが、
 新シリーズのGD系からは理論と信念をメインに解説が進んでいる。
 この解説文章は、少々、理屈くさいと言う感じ (笑) も否めないが、
 マイナー前もマイナー後も、一貫してこの方向性が変わっていない所に好感が持てる。
 
 前半が他メーカーからの乗換えユーザー用のメッセージとするならば、
 この後半部分は、既存のスバルユーザーへのメッセージと言えるだろう。
 
 GC8系からの乗換えが少なかったのも事実であるし、また、WRCと言うスバルが
 得意である分野をカタログの前面に押し出す事により、GC8系ファンに強く訴えかけて
 来るモノがあるのも事実だ。(^^ゞ
 
 まあ、このカタログは、一見すると前半後半でチグハグな、つじつまの合わない構成
 のように見えるが、過去1年、新型のインプレッサ・セダンがイマイチ売れなかった事を
 しっかりと正面から向き合って、今現在の実状に合わせて一生懸命に作ってきたと
 感じられる。
 
 元々スバルは 「 技術集団 」 ゆえに、自己アピールの下手な会社なのである。(笑)
 ( そこにスバルの真面目で職人気質的な良さがあるワケだ (^^ゞ )
 
 そう言う意味で、不器用ながらもユーザーに歩み寄って来ているこのカタログは
 内容的に非常に高く評価できると言えるし、今のスバルの動向そのものと言えるだろう。