パラグライダー世界選手権 & PWC レポート

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 ■ 記事No.05011 世界選手権編11

    <6月27日> ショートタスク成立
    フランスチーム、ダントツの速さでゴール。
    日本チーム苦戦。

    ■タスク (競技内容:通過すべきチェックポイントと順番)

     ターンポイント名           標高    備考
     -----------------------------------------------------------------
     ・D01 280  TO1           2800m   (飛び立つ所)
     ・D03 128  14.3km 地点 TO3     1280m
     ・B19 128  6.2km 地点 家      1280m
     ・D02 210  9.8km 地点 家      2100m
     ・B19 128  9.8km 地点 家      1280m
     ・A05 075  7.4km 地点 ゴール     750m   (着陸する所)
     -----------------------------------------------------------------

    地図参照

    画像の上=東、下=西、左=北、右=南、です。

    スピードレース,スタート・ライン8km
    合計47.4km, min(競技成立最低距離)10km
    Window open 16:45

    ※ターンポイント名の、前3文字は名前,後ろ3文字は
     標高(×10m)を表しています。___は未計測。
     スピードレースとは、各個人が最初のターンポイントを
     通過した時(何回も通過した場合は、最後に通過した時間)が、
     スタート時間になる。つまり、各個人がコンディションや
     レースの駆け引きによって、スタート時間を自由に変えられる。

    <結果速報 個人>
     RANK NO NAME          Time/Dis POINT
      1 196 DONINI LUCA     ITA 1:29:16 746
      1 42 JENSEN HENRIK    DNK :27:41 737
      2 43 BRINKEBY PETER   SWE :33:37 695
      3 14 BEROD PATRICK    FRA :38:04 690
      5  5 ARNOLD MRCO-ANTOINE FRA :36:25 686
      6 18 KLEJA JURAJ     SVK :36:07 685

      25 30 KAWACHI MASATAKA     :47:48 573
      50 40 TADANO Shoichiro    2:01:20 517
      64 51 MIYATA Ayumu      2:29:37 402
      92 32 OGISAWA Kaoru      44.4km  328
      93 233 TANAKA Miyuki      44.3km  326
     111 15 TSUJI Tsuyoshi     24.4km  168
     118 201 MIZUNUMA Noriko     21.4km  147

    <結果速報 個人総合>
      30 15 TSUJI Tsuyoshi         3762
      38 40 TADANO Shoichiro        3471
      54 30 KAWACHI MASATAKA        3124
      64 32 OGISAWA Kaoru          2872
      81 233 TANAKA Miyuki          2511
      99 201 MIZUNUMA Noriko         2169
     111 51 MIYATA Ayumu          1943

    <詳細レポート>
    大会6日目、快晴ですが、非常に渋い条件で、下層,上層とも南西の
    爆風(標高3000mでSW65km/h)の予報です。
    目の前には、絶対に取れそうにない逆転層が、クッキリと、まるで、
    水と油のように分かれて見えます。そして、
    テイクオフは一番高い所DO1(2800m)を使用する事になりました。
    でも、風は比較的穏やかで、非常に不気味です。

    晴れてはいるもののコンディションが整わないので、
    タスクがなかなか決まりません。15:30にやっとタスク発表。
    とても、距離の短いタスクで、相当速いタイムが叩き出されると思われます。
    しかし、相当渋そうです。ダミーのパラグライダーが、3000m位まで
    しか上がりません。どの選手もテイクオフに慎重ですが、
    私はさっさとテイクオフしました。

    以前にも説明しましたが、最も遅くスタートして、最も早くゴールすれば、
    一番なのですが、余り遅すぎると、サーマルが無くなってしまいます。
    今日は、Window openが16:45だったので、サーマルタイムも
    残すところ2時間位でしょう。

     ※サーマル ....太陽の力によって暖められ発生する上昇風のこと。
               この風を使ってパラグライダーは上昇します。

    私は、TO1から山の奥に飛んでいって、何とか強烈なサーマルをヒット
    できないものかと粘りました。ハンス・ボーリンガーも、同じ事を考えたようで、
    二人で、探したのですが、ダメでした。そんな事をしているうちに、
    スタート・ラインの8km地点(DO2)に移動した集団の一部が、
    スタートを切り始めます。

    この大会も後半戦を迎え、各国の駆け引きが激しくなります。
    フランスチームは、何か作戦があるのか? チームでまとまって、
    先頭を突っ走っていきます。スイスやオーストリア・チームも
    これに、いち早く感付いて追撃を開始します。
    日本チームは、全体のやや後半でスタート。タイミングとしては、
    最高だったと思います。特に川地・辻選手(チームプレー)は、
    先頭グループをグイグイ追い上げ、追い付く事に成功!! 
    ただし、パトリック・ベローら3人のフランス・チームは、
    特別に速さが突出していて、最後まで追い付く事ができませんでした。

    B19を撮って、DO2に引き返す途中から、天候に異変が生じます。
    実は天気予報に反して、競技開始当初からメインの西風に対し、
    上層に北風が入っていました、ところがこの北風がドンドン強くなってたのです。
    そう! フランスチームはこの情報を入手していたのです。
    競技開始前に飛んでいた、ダミーの中にいたフランス人パイロットからも、
    この北風の情報は、入手していたのでしょう。 ヤラレタ!! (>_<)
    各国選手は、強風になる前に、ゴールするために、スピードアップをします。

     ※ダミー....競技を開始する前に、オーガナイザー(競技の主催者)が、
             コンディションを調べるためのパラグライダーを飛ばします。
             これをダミーと言います

    ここで、日本チームに最大のピンチが訪れます。
    これまで、好調な飛びを続け、上位入賞まで、後一息の所に来ていた辻選手が、
    大きく潰され、レスキューを開傘してしまいます。(勿論、無事ランディング)
    チームの成績は、その日の競技で成績が良かった人、3人の得点を毎日加算して
    いきます。したがって、最低3人は必ずゴールするなり、
    上位に入らなければなりません。最大のポイント・ゲッター、
    辻選手のリタイヤで、他のメンバーにプレッシャーがかかります。

     ※ランディング....着陸すること

    その後も順調にフライトを続けて、最後のB19を撮り、2500mまで
    上げ直しに成功した私は、ゴールに向けてファイナルグライドに入ります。
    800mを余してゴールできると計器に表示が出て、安心したのも束の間、
    北風が一段と強くなり、ニコちゃん・マーク(目的地に到達できる時に
    表示されます)が消えてしまいます。
    表示には−50m!? またですか・・・ (>_<)

     ※グライド....真っ直ぐ飛ぶ事。

    最後の尾根が足元から近づいて来ます。
    そして、私よりも高くなったその時、私の前の機体が僅かに上昇し、
    尾根を足が着くギリギリで、越えていきました。
    一か八か突っ込みます。(バクバク,バクバク (゜_゜;) )
    グググッ、バサッ、ヤバッ、バサバサ、こなくそ!? 進め!
    オラオラ、ピュウ〜。助かった、越えれた! (パラグライダーを
    している人なら、この擬音で分かっていただけますよね (~_~;) )

    川地、ゴール! 続いて只野、ゴール! 少し遅れて宮田、ゴール!
    何とか3人ゴールできました。本当は、扇澤選手が3番目に来る予定でしたが、
    風が強くなったという無線が上手く届かず、そのまま突っ込んでしまい、
    最後の尾根が越せませんでした。

    <つづく>

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    <ワールド・エアー・ゲームのホームページ> http://www.wag2001.org
    ワールド・エアー・ゲーム(空のオリンピック)の公式ホームページです。
    全ての競技のスケジュールからニュース、結果が見れます。
    勿論、パラグライダー世界選手権のホームページにもリンクが貼られています。

    <DRACOのホームページ> http://www.draconexion.com
    シェラネバダ山脈のパラグライダー・クラブの一つで、
    大会のオーガナイザーをしています。当然、大会の結果報告や
    ニュースを逐次アップしています。

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